人気ブログランキング | 話題のタグを見る

◆会報第42号より-05 謡曲放生川

シリーズ「謡曲のふるさと八幡」・・・②
放生川(ほうじょうがわ)

 猪飼 康夫 (会員) 


 謡曲「放生川」は、平安時代から続く石清水八幡宮の行事 放生会(ほうじょうえ)をもとに作られています。明治の廃仏毀釈で、仏教色が一掃され石清水祭と呼び名は変わりましたが、放生川に魚や鳩を放ち童子が胡蝶の舞を舞う放生会の行事は毎年9月15日に行われています。
謡曲「放生川」の筋書きは「弓八幡」とよく似ています。男山八幡宮の祭りの日に鹿島の神主が参詣すると、魚を桶に入れた老人と出あいます。「神事の日になぜ殺生するのですか」と尋ねると、老人は「今日は生き物を放つ放生会です」と答えます。そして、魚を放生川に放し神事のいわれを語って、「私は、石清水八幡宮に仕える武内の神です」と名乗り、山頂に立ち去ります。

◆会報第42号より-05 謡曲放生川_f0300125_21485762.jpg やがて月が上り、神楽の音と共に武内の神が現れ、平和の御代を讃える舞を舞います。なぜか、能楽「放生川」が演じられた実績は極めて少なく、謡曲「放生川」も馴染みの薄い曲になっています。
 放生川とは、八幡宮がある男山の東側を流れる大谷川の一部分、高良神社近くの安居橋から上下200メートルに付けられた名称です。 かつては、蛍が飛び交い八幡八景のひとつに数えられていましたが、蛍がいなくなって久しく、その風情を味わうことも叶わなくなりました。
男山は、八幡の「里山」のような存在で、自然に触れ合いながら自然の仕組みが学べるところです。美しい自然環境を取り戻し、八幡の歴史文化と共に次世代につないで行きたいものです。

<<< 連載を抜けてTOPへ        この連載記事の続きは⇒⇒

by y-rekitan | 2013-09-28 08:00
<< ◆会報第42号より-04 エジ... ◆会報第42号より-06 墓石... >>