◆会報第41号より-08 謡曲弓八幡

シリーズ「謡曲のふるさと八幡」・・・①

弓八幡(ゆみやわた)

 猪飼 康夫 (会員) 


 八幡ゆかりの謡曲に「弓八幡」「放生川」「女郎花」があります。「弓八幡」の舞台は、男山石清水八幡宮と男山麓にある摂社・高良神社です。高良神社こうらたまたれのかみには高良玉垂命が祀られ、毎年七月十七、十八両日の祭礼には太鼓みこしが担ぎ出され、昔から太鼓まつりとして親しまれています。

 謡曲「弓八幡」の物語は、後宇多天皇から参詣の命を受けた臣下が、石清水八幡宮へやって参ります。多くの参詣者の中に、袋に納めた弓を携えた老人を見つけ、尋ねますと「私は長年この八幡官に仕えている者ですが、後宇多天皇に弓を捧げようと、貴方が来るのを待っていました」。さらに「弓は袋に納めて、戦わずして天下を治めるように、これが神の思し召しです。自らは高良の神です」と言って消え失せます。
どこからともなく音楽が聞こえ、芳香が漂い、高良の神が姿を現します。高良の神は、この世の繁栄を祝い、八幡宮の神徳を讃え、舞を舞うのでした。

f0300125_22343712.jpg 謡曲には、平家物語や源平盛衰記をもとにして作られた修羅物と呼ばれる曲が数多くあります。この世で戦をして亡くなった武将が修羅道に落ち地獄の苦しみに耐えかね、亡霊となって旅僧に救いを求めにやって参ります。武器は、人を殺傷する道具です。武器の威力をかりて世を治めても、天下太平は続きません。常に交戦を招く危険がはらんでいます。「弓八幡」は、戦わずして世を治めることを説いています。
 都を逃れた義経一行が尼崎の大物浦を出港すると大嵐となり、壇ノ浦で沈められた平家一門の怨霊が現れます。中にも知盛の亡霊が長刀を振りかざし義経―行に襲いかかります。
いつの世でも、戦は繰り返されます。今こそ神々の神威で、戦いの輪廻を断ち切って頂きたいと願うものです。 (平成25年8月14日)


<<< 連載を抜けてTOPへ        この連載記事の続きは⇒⇒

by y-rekitan | 2013-08-28 05:00 | Comments(0)
<< ◆会報第41号より-04 エジ... ◆会報第41号より-end >>