会員:望月充郎 八角堂(八幡大芝)の斜め前に御堂が建っている。中には、大きな石仏が祭られている。お地蔵様だ。台座の高さ95㎝、蓮台に乗ったそれは135㎝の高さだ。 実に穏やかな表情で、 右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠(ほうじゅ)を持っている。 姫路在住の一女性が、御堂のあまりの荒れ方に胸を痛めて、たまたま出会った「ルネ」の伊藤さんに塗り替えをお願いしたことがきっかけだった。 女性は八幡に嫁いだ娘さんの安産を祈って、何回もお参りしたところ、無事女児を授かったのでそのことへのお礼を込めて改装を思い立ったという。経費は全額女性が出費された。 そして今度は八幡市内の女性がお参りしていて、台座(裏)に刻まれた文字が気になっていたが判読できない。そこで伊藤さんに依頼し、私のところへ回ってきた。 何回もお参りし、お祈りするこのお地蔵様には、二人の女性を引きつける何かがあったのだろうか。 数日前、台座の碑文を見に行ったが、どうもはっきりしない。そこで拓本にとって読めた文字は次のようなものだった。 建堂願主知教法尼 出生楠葉俗姓山中 是圓阿上人之姉也 薙染嗣法聞阿上人 聊営小堂以擬報恩 仰冀 伽藍安全法種増長 師僧父母六親眷属 外護擅信一歩結縁 現當諸願皆令満足 乃至法界均登覚岸 願主は女性だったのだ。圓阿上人のお姉さんと言うことだが、どのような人だったのだろうか。また圓阿上人とはどのような人で、さらに仏門に入り法統の教えを授けてくれた聞阿上人とは?そして恩師、父母、兄弟、親戚の多くの人が結縁(けちえん)に近づくため、また彼岸を悟るために祈った知教法尼は、楠葉のどこかに眠っているのだろうか。 私も文字を読んだだけでまだ調べてはいない。正法寺のお上人に尋ねたら即座に回答を頂けることかも知れない。あるいは楠葉、その周辺の浄土宗、浄土真宗、時宗の寺を訪ねたら解決できそうな気がする。 八幡のメジャーな歴史事実を探究することは勿論だが、町中に眠っている小さな歴史を探るのも、またおもしろいことだ。 (2011/06/10) ※この地蔵菩薩は、八角堂がこの地に移転してきた際、それを守護するためのものとして近隣の方が寄進したとのこと。また、「安産地蔵」の名がある通り、安産祈願の御利益があるとのことである。地蔵堂は、昭和37年に八角堂の修理がなされた折に建造されたそうである。地蔵菩薩の寄進者が碑文の願主なのかもしれない。
by y-rekitan
| 2011-06-28 11:00
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