西 中 道(石清水八幡宮・禰宜) もしも八幡という町が、この世に存在していなかったなら、我が国の歴史や文化は、かなり異なった様相を呈していたのではないか。それほど日本全体の歩みに重大な影響を及ぼしてきたのが、我が八幡であり、八幡宮ではなかったか。 今の私たちが、ふだん眺めている「八幡」は、地上に露出したほんの僅かな一部に過ぎず、これを少しずつ掘り起こしてみたら、いつか思いもよらぬ巨大な全体像が姿を現わすのではないか… そんな期待を込めて、私も時代を溯り過去の八幡へと「探検」の旅に出てみたのだが、その細やかな成果らしきものを文章という形に落としていくと、どうしても淡々とした無難な言い回しに流れてしまったり、逆に硬直した分かりにくい表現に泥んでしまったりして、これで少年少女の心に響くか、と問われれば、ただもう心許なく、自分の知力筆力の薄弱さに恥じ入るばかりであった。 何よりも、宗教とか信仰という人間の精神に関わる問題を、独りよがりでもなく押し付けでもなく、どうすれば客観的に、万人に分かり易い形で読者に伝えることができるかという点に、私が担当した第2章における最も難しい課題があったように思う。 けれども、幸いなことに有能な編集委員の皆様により適切な修正が施され、そのお蔭で非常にスッキリとした平易な文章に整えられたものと、感謝の念とともに確信しているところである。 本書を通じ、わが町・八幡への愛着と理解、誇らしさの念が、人々の心に深く根を張り、やがて大きく枝を広げることを心から願ってやまない。
by y-rekitan
| 2015-08-28 11:00
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