◆会報第66号より-04 本の刊行

シリーズ:『歴史たんけん八幡』の刊行に寄せて・・・⑦
八幡の歴史に
『歴史たんけん八幡』刊行が刻み込まれた


 播磨 義昭 (会員) 


 これ程立派な本が出来るとは、全く予想していませんでした。八幡の歴史を探究する会「歴探」が、八幡の歴史に『歴史たんけん八幡』刊行を刻み込んだという表現は決してオーバーではないと思います。
 『歴史たんけん八幡』を手にして、先ず表紙と裏表紙を見ました(私の読書は外観観察から始めます)。次に、読書の作法通り目次と奥書を見ました。鍛代敏雄先生の「刊行によせて」、伊佐錠治さんの「この本を読むみなさんへ」は、格調の高い文章です。この辺りまでは、「歴探」には「八幡の歴史カルタ」の実績がありましたので、単に予想を超えた本が出来たと思っていました。
 ところが、第1章「大むかしの八幡」の二枚の写真を見て驚きました。西車塚古墳跡(10頁)と女谷荒坂横穴群(11頁)の写真が、あまりにも鮮明で美しかったからです。この種の本では、出版予算の制約から、写真と図版に掛かる費用を惜しみ、それらが不鮮明になることがよくあります。単に予想を超えた本が出来たと思っていたところ、二枚の写真の鮮明さと美しさに驚き、読書を中止しました。中止したと云うより、『歴史たんけん八幡』の出来栄えに圧倒されて、読み進むことが出来なくなったのです。読書を中止して、写真のチェックを始めました。
 高良神社(31頁)、上津屋村の庄屋(54頁)を始めとして、美しい写真の連続でした。『歴史たんけん八幡』中の写真は、構図も優れたものばかりでした。ガイドブック等の写真は、分り易さを優先するため、構図の優れたものが少ないのです(制作委員の何方が写真を選ばれたのでしょうか)。
 私は地図を見るのが好きですので、古墳分布図(10頁)、古代の官道(13頁)を見て、楽しくなりました。
 画像では八幡大菩薩御影(18頁)が特に鮮やかで、絵図では狐渡口(51頁)が魅力的です。(狐渡口に描かれた旅人は、何故、片手を挙げているのでしょうか)。平安時代の門前町と室町時代の門前町の地図(21頁)は、平安期から室町期にかけての門前町の変化がよく分りました。
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 小山嘉巳さんの挿絵、善法律寺(30頁)、正法寺(36頁)を見付けて、嬉しくなりました(小山さんの絵を見るたびに想うのですが、何故、小山さんはあれ程優しい絵を描くことが出来るのでしょうか)。
 『歴史たんけん八幡』を会員価格(1,000円)で購入しましたので、“得をした”と思いました(本来、読書に損も得もありません、心の貧しい者の感慨です)。
 鮮明な写真や美しい図版に圧倒されて、書き忘れそうになりましたが、巻末の「たんけんマップ」(98頁)が好く出来ています。「たんけんマップ 地点番号一覧表」(96頁)を見て、「たんけんマップ」で場所を探すことが簡単に出来ます。好く出来ていると書いたのは、「たんけんマップ」が大きくて見易いことと、石清水八幡宮・飛行神社等が集中する部分を見易く拡大しているからです(『歴史たんけん八幡』は親切満載の本です)。八幡山上山下惣絵図(72頁)は、地名を加筆して頂いたので、非常に分り易くなりました。
また、「なるほど 八幡名物」を読んで、「碾茶」が八幡の名物であることを初めて知りました。
 三宅安兵衛碑が取上げられなかったことは、少し意外でしたが、三宅安兵衛碑以外に書くべきことが沢山あったのだろうと思いました。
 当初、『歴史たんけん八幡』は子ども向けに作ると聞いておりましたので、内容的には期待していなかったのですが、出来上がった本の内容は、大人も十分楽しめるものです。八幡の子ども達が、美しい写真や図版に感動し、知らず識らずのうちに八幡の歴史を学び始める姿が目に浮かびます。
 以前、知り合いの編集者に“読者に読んで貰うためには、書出しの数行が重要”と聞いたことがあります。その意味でも『歴史たんけん八幡』の記述は、非常に好く出来ています。記述レベルが高い割に読み易く、至るところに編集者の心遣いを感じます。最近は、乱れた日本語に眉を顰めることが多いのですが、『歴史たんけん八幡』の記述は、正確で美しい日本語です(これは、子ども達への教育的配慮でしょうか)。
 『歴史たんけん八幡』は色彩感覚が特に優れた本です。「歴探」メンバーが歴史に詳しいことは承知していましたが、これほど色彩感覚が優れているとは考えていませんでした(失礼)。
  『歴史たんけん八幡』の出版に関わられた全ての方々に、御礼申し上げます。  
                     
(平成27年9月1日)


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by y-rekitan | 2015-09-28 09:00 | Comments(0)
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