◆会報第69号より-04 古寺巡礼

「古寺巡礼」で出会った仏さま

滝山 光昌 (会員)


 今回、「八幡の古寺巡礼」で「法華宗真門流の本妙寺」と「曹洞宗の常昌院」を訪れ、それぞれのお寺に祀られている仏さまにお参りすることが出来ました。
 本妙寺は、日蓮の法華曼荼羅に基づいて、中央に南無妙法蓮華経(題目)を配置し、周囲に種々の仏様を配置した三宝尊でした。そして、仏を漢字や梵字であらわした「文字曼荼羅」も披露してくださいました。
 「曼荼羅」という言葉はよく知られていると思います。今回、「法華曼荼羅」という言葉を本妙寺のご住職から初めて伺いました。曼荼羅については、有名な国宝の東寺の「胎蔵界曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」くらいしか知りませんでした。法華宗の祭壇の祀りかたは、東寺や高野山で空海が開いた「立体曼荼羅」の考え方と同じではないでしょうか。
 常昌院のご本尊は、座っていらっしゃる「地蔵菩薩」でした。
 地蔵菩薩を本尊にしている寺院は、京都・西山にある「竹の寺」の愛称がある「地蔵院」や奈良の「矢田寺」など沢山あります。宗派に関係なく、お寺に地蔵菩薩は祀られています。私の岡山の実家は高野山真言宗の古い山寺ですが、ご本尊は愛染明王で、脇に木彫りの地蔵菩薩座像が祀られています。地蔵は古くから、民衆に親しまれ、信仰の対象とされてきました。地蔵盆、六地蔵巡りなど、地蔵を中心とした庶民の行事が今も引き継がれています。
 今回二カ寺の本堂は、過去に訪問した八幡の古寺とは、若干おもむきが異なっているように思えました。八幡に数多くある浄土宗の寺院や高野山の真言宗の寺院は、本尊を中心に、色々な仏を沢山祀ってありますが、今回の二カ寺は比較的少なかったように感じました。
 東洋の仏教においては、西洋のキリスト教と異なり、礼拝所に沢山の仏さまが祀られています。キリスト教の場合は、キリスト像かマリア様だけです。東洋と西洋における宗教への信仰のあり方の違いを感じます。また、西洋の場合は、宗教にまつわる戦いがありましたが、少なくとも日本では、宗教に起因する争いは近代以降には起こっていないのではないでしょうか。これは、仏教が様々な仏像の存在を認めるように、他の宗派や信仰を容認する性格があるからではないでしょうか。
 美術家・美術研究者と宗教家とでは仏の見方、係わり方も違っています。美術家等は、美術工芸品として、宗教家は哲学的・精神的(心)な扱い方をするのではないでしょうか。その点、私たちは、寺の宗派としての成り立ちや信仰の在り方、寺の歴史を先ず学び、その上で美術工芸品としての仏さまの美しさを味わうべきだと改めて思いました。
by y-rekitan | 2015-12-28 09:00 | Comments(0)
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