◆会報第69号より-05 国宝

八幡の文化財(国宝指定)について

高田 昌史 (会員)

1.はじめに

 10月16日に「石清水八幡宮本殿など10棟」が国宝に昇格の答申があり、正式に官報に告示されると、いよいよ八幡市で初めての国宝誕生です。このことは11月の「公報やわた」に“市で初めての国宝誕生へ”と大きく紹介されました。
国宝昇格については既に10月発行の会報67号で速報として掲載しましたが、この機会に国の文化財行政と、八幡市の文化財の現状を調べましたのでその概要を報告します。

2.文化財とは

 文化財は、文化財保護法という法律の第一章第一条(この法律の目的)に、以下のように定義されています。 
第一条 この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
文化財保護法は本文だけで第二百三条まで制定されています。
この法律によると文化財は6区分もあり解りにくいので、その概要を下図にまとめました。
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 文化財のうちで、一番種類が多い有形文化財は、【建造物】及び【美術工芸品(絵画・彫刻・工芸品・書籍・典籍・古文書・考古資料・歴史資料等)】があり、その中で(重要なもの)が重要文化財の指定をうけます。他の文化財も同様です。
 平成26年10月6日には「松花堂及び書院庭園」が八幡市で初めて国の名勝に指定されましたが、文化財の区分では記念物です。また、有形文化財で(保存と活用が特に必要なもの)は、登録有形文化財に登録されます、八幡市では平成24年に中村家住宅が登録されました。

3.国宝とは

 文化財のうち特に優れたものを保護するために与えられた資格です。明治30年(1897)に古社寺保存法が制定されて初めて国宝の規程がなされ、その後社寺以外の文化財にも拡大適用されている。なお、今回国宝の昇格の答申された石清水八幡宮の本殿等は、主に最初の明治30年に重要文化財に指定されています。
  国宝について、「文化財保護法第三章有形文化財 第一節重要文化財」の条例では、
第二十七条   文部科学大臣は、有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定することができる。
2 文部科学大臣は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる。
 と制定されているので、国宝になるのは有形文化財のなかの重要文化財から指定されます。 また、一般には重要無形文化財保持者は、人間国宝と呼ばれています。
 文化庁のHPによると平成27年12月1日現在で、全国に重要文化財は13,049件指定されており、その中から国宝に指定されている文化財は1,096件です。このうち関西には重要文化財が4割、国宝は5割あります。また、この文化財を所管する文部科学省の文化庁が京都移転を検討されている時期に八幡に国宝誕生は喜ばしい事です。
現在八幡市の国指定重要文化財は合計で45件ですが、今回はそのうち石清水八幡宮本社(本殿など10棟)が国宝に昇格します。

4.国宝指定を受ける文化財

 八幡市の国指定重要文化財の建造物は、下表にまとめたように4件です。
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 このたび文化庁の文化審議会から文部科学大臣に、石清水八幡宮の員数16棟(附(つけたり)2棟)の中からの10棟をまとめて今回国宝に昇格する答申がありました。  
 国宝に昇格の10棟は表中に着色で示したが、現在重要文化財の本殿及び外殿の附(つけたり)の摂社武内社本殿及び瑞籬(みずがき)の2棟も個別登録されて国宝に昇格です。今回のように10棟がまとめて国宝指定は異例のことと思います。なお、今回国宝には棟札(むなふだ)3枚も附(つけたり)として登録されます。この棟札の1枚は寛永11年(1634)に徳川家光が現在の本殿を造営したときのものと伺いました。
 また、表にまとめたように重要文化財として「石清水八幡宮」1件として登録さていますが、今回の国宝指定の10棟は「石清水八幡宮本社」と名称変更されます。f0300125_15374150.jpgこの本社の上方からの写真を石清水八幡宮から提供頂きました。その写真の各屋根の箇所に国宝名称を記入したので各棟の位置が確認できます。
 なお、石清水八幡宮社殿の調査報告書によると『八幡造本殿は、国内の同形式本殿の中では現存最古で最大規模であり、本殿などを廻廊で囲み一体化するという古代に成立した社殿形式を保持している』と報告されています。

5.おわりに

 官報告示で正式に八幡市で初の国宝誕生が待たれますが、現在、石清水八幡宮では午前と午後に各1回の本社に昇殿参拝ができます。参拝では神官により約40分間で10棟すべて案内があり詳細に説明していただけます。私も先日大勢の仲間と一緒に昇殿参拝をしましたが、皆さん大変満足されました。参拝は2月4日~12月31日の期間で、お薦めです。
 また、石清水八幡宮の西禰宜には、写真の提供や国宝昇格の文化財に関するご教授をいただきました。厚く御礼申し上げます。
 今回は国指定(登録)文化財のみを紹介しましたが、その他に八幡市には京都府の指定文化財、登録文化財、登録無形民俗文化財、府文化財保全地区などがあり、また、八幡市指定文化財としては、絵画、彫刻、古文書、考古資料などがあります。
(※)文化財の詳細は八幡市HP-「子育て・教育」-教育便覧「平成27年度八幡市の教育」-にアクセスしてファイルを開き「文化財の概要」ページの一覧表で確認下さい。
 なお、八幡市内には、まだ多くの文化財があります。これからの調査により保護・保全・登録を実施し後世に引き継がれていくことを願っています。そのためには現在制定されている八幡市文化財保護条例(昭和60年から施行)にある「八幡市文化財保護審議会」の常設が望まれます。 
by y-rekitan | 2015-12-28 08:00 | Comments(0)
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