◆会報第70号より-03 五輪塔①

シリーズ「五輪塔あれこれ」・・・①
現場の解説板

野間口 秀國 (会員) 


 2015年10月、「石清水八幡宮上院の本殿や回廊、楼門など計10棟を国の重要文化財から国宝に格上げを答申」のニュース(*1)は多くの関係者の皆様には勿論の事、八幡市民にとりましても喜ばしい限りであり、国宝に指定されるその日を多くの人たちが待ち望んでいます。そのような華やかさはありませんが、八幡宮下院の頓宮殿近くに、これまた国の重要文化財に指定されている大きな五輪塔があります。しかしこの五輪塔はどれほどの人たちに知られているのでしょうか。

 京阪電車の八幡市駅改札口を出て左へ、f0300125_1530262.jpgバス乗り場に沿って反時計回りに進むとほどなく右手に見上げるような高さの一の鳥居が目に飛び込んで来ます。鳥居の手前で進路を右に取り暗渠となった水路沿いに歩を進めると間もなく右手前方に神應寺総門があり、視線を左に転じると前方に大きな五輪塔が視界に入って来ます。石清水八幡宮五輪塔(*2)と呼ばれるこの石塔(*3)について興味を持ち色々と調べてみましたので、分かったことや、分からないこと(殆どそうですが)、五輪石塔(*3)にまつわるあれこれを書かせていただきたいと思います。
 手始めに、きっかけとなった五輪石塔のある現場に立つ「八幡市教育委員会の解説板」に書かれた文章をあえて今一度なぞってみます。理由は、書き進むにつれ一度ならずこの文章に戻ることがあると思うからです。

 以下、解説板(*4)に書かれた文章をそのまま掲載します。
石清水八幡宮五輪塔 (航海記念塔)

 高さ約六m、地輪(球形の石材の下の方形の部分)一辺二・四m、全国最大規模の鎌倉時代の五輪石塔で、国の重要文化財に指定されている。石塔の各部分は、下から地・水・火・風・空の五大要素を表している。地輪は、数個の石を方形に組み、水輪は背が低く安定感のある球形をしており、火輪の笠石は軒が厚く、形の良い反りをしている。摂津尼崎の商人が中国宋との貿易の帰途、石清水八幡宮に祈って海難を逃れ、その恩に報いるため建立されたと伝えられる。航海の安全を祈って参詣され、航海記念塔とも称されている。この大石塔を築く際、石を引くのに火花が出て綱が焼き切れてしまったので、竹で作った綱で引いたという話もある。また、忌明塔ともいわれ、亡き父母の忌明けの日に参り、喪の汚れを清めたという。そのほか、鎌倉時代の武士の霊を慰めるために建立された武者塚であるとか、刻銘がなく、造立の起源が不明であるためか、この大石塔にまつわる伝説は様々である。
     一九九二年三月
八幡市教育委員会
 訪れるたびに書かれた文面を読み返すも、何となく分かったようで、実は分からないことばかりであることが分かりました。この石清水八幡宮五輪塔についての書籍や描かれた絵図などは複数出版されており、新聞でも報じられています。また八幡市誌や当会会報、その他団体の機関誌などにも先輩諸氏によるこの五輪塔を含めた数々の五輪塔・石塔に関わる記述や報告も数多く、そこに書かれたことも参考にさせていただきたいと思います。
 f0300125_1549725.jpg高良神社の鳥居傍にある案内絵図(掲載写真)にも描かれておりますので、機会がございましたら一度探してみられるのも楽しいかと思います。先述の書籍等々にありますいくつかの五輪塔を訪ね、そこで見聞きしたこと、学んだこと、思ったことなど、時代を往き来しながら書きたいと思います。最初から、何をゴールにどこまで、と決めることなく始めてみますがどうなりますか。
 とは言え、分からないなりに解説文を何回も読むうちに、そこには調べるためのヒントもいくつか見えるように思われます。それらは「いつ/When」「だれ/Who」「どこ/Where」「なに/What」「なぜ/Why」などの基本的な5つの不思議(5W)です。これらに「どのように/How」の(1H)も加えてみたいと思います。必ずしもこのように順番どおりとはゆかずに、Wの混在や行ったり来たり、時に H が混ざることもございますことは予めご容赦願います。次章ではいきなりですが上記の順番どおりでは無く、石清水八幡宮五輪塔はいったい「なに/What 」から始めてみたいと思います。

参考図書・史料及び注記等:

(*1):京都新聞(2015年10月17日付)記事など。
(*2):八幡市HPにある八幡市の重要文化財などの一覧に記載されている名称。
(子育て・教育 => 教育要覧「八幡市の教育」 => 27年度ファイル)

(*3):本章を含め、以降、五輪塔、五輪石塔または石塔などとも書きます。
(*4):本章を含め、以降、説明板、説明文、解説などとも書きます。


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by y-rekitan | 2016-01-28 10:00 | Comments(0)
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