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◆会報第88号より-01 惺々翁

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心に引き継ぐ風景・・・⑲

惺々翁せいせいおう(松花堂昭乗)と「本阿弥行状記」

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 「本阿弥行状記」に松花堂昭乗が登場している! ある時惺々翁は、本阿弥光悦が新築した小屋を見て、「何と、粗壁の中に山水鳥獣あらゆる物が見えるではありませんか、…」と言い、一泊して一日中粗壁を見てはその中から色々な絵を写し、私にも下さった。古くから粗壁に絵姿が現れることは伝え聞いてはいましたが、目の当たりに惺々翁が描きとられる姿をみて疑いもはれ「何事も上達しなければその奥儀を悟れないものよ」と感服しました。是につき惺々翁と話す事がありました。「書、絵画などあらゆる芸には、天授というものがあって、どれ程精を尽しても群を抜いて上達することは普通はできぬ物なり、怠けていては猶行れず。其外どのような芸でも、それまでの決まりにからみ取られていては、却って成就しない」ということでした。―本阿弥行状記よりー
 己の独自な法を作り出してこそ一流の芸とする考えは現代も生きている!
大坂夏ノ陣直後、家康から鷹ヶ峯の地を拝領した光悦は「舟橋蒔絵硯箱」、「白楽茶碗・銘不二山」の国宝を世に出し、宗達が下絵を描き光悦が和歌を散らし書きした「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」に代表される圧巻の書蹟を残している。
 「世にいう琳派は茶人本阿弥光悦を源流としていて、彼の作品と並べれば光琳、乾山の素晴らしい創造も光彩を失う程である」と茶の本(岡倉天心)は伝えている。
(文と写真 谷村 勉)空白


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by y-rekitan | 2018-11-30 12:00
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