《講 演 会》
男山文化圏の中心・八幡
― 2012年4月 ふるさと学習館にて ―
市文化財保護課主幹 小森 俊寛
市文化財保護課係長 大洞 真白
4月11日(水)、新年度初めての例会が、「石清水八幡宮の境内調査」と題して、ふるさと学習館を会場に開催されました。
初めに、文化財保護課文化財保護係長の大洞真白さんが、スライドを上映しながら境内調査の結果を簡単に紹介しました。
これまで現地見学会で何回か説明を受けた内容ですが、多数の石垣や往時の参詣路の存在、二の鳥居南側平坦部に広がる僧坊の跡など新しい知識もあり、意義深いものでした。
続いて同主幹小森俊さんが「男山文化圏の中心・八幡」と題してご講演なさいました。小森さんのレジュメに沿って概略を紹介します。

小森さんは、京都市内で長年土器の研究をされてきた方です。10年ほど前に八幡市上津屋遺跡の発掘調査や整理報告に関係して、京都側から見てきたこの地域の土器が、北河内や北摂津地域にまでその分布圏が大きく広がっていることを認識し、八幡を中心とした地域が、基本的な生活文化レベルの文化情報を共有する、「男山文化圏」と呼べる一つのまとまった地域と見なしう得ると結論づけました。その際、土器生産地としての「楠葉」の存在は重要である点にも触れ、男山文化圏の成立によって、摂津・河内・山城の境界、あるいは中間地点であったこの地域の古代前半期の土器の地域文化圏が、大きく変化したことを強調なさいました。又石清水八幡宮の発展、殊に、石清水神人とその家族、その地域の人々が文化圏の形成に大きな力となっているとのことです。 質疑・討論では、土器の形状などの編年をどう見たら良いのかなど専門的な事柄にも触れましたが、何しろ時間が足りません。土器の基本的な見方など小森さんから直に教えてもらう等、今後の楽しみとするとして例会は終わりました。 参加者35名。
◆◆ 資 料 ◆◆
石清水八幡宮と男山文化圏
小森 俊寛・大洞 真白(八幡市教育委員会)
日本遺跡学会誌『 遺跡学研究』第8号(2011)抜刷





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