◆会報第51号より-03 伊佐家暮らし④

シリーズ「伊佐家の暮らしとしきたり」・・・④
伊佐家の暮らしとしきたり その4

伊佐 錠治 (会員) 


3.昔の暮らしを今に生かす

 これまで伊佐家の暮らしとしきたりについて、ハード商とソフト面から記載してきたが、これらの一部でも現在に生かすことができれば古民家の理解につながると考え、伊佐家を活用するイベントに取り組んだ。計画したイベントは重文民家マネジメン卜研究会、大阪人間科学大学あかりプロジェクト、八幡の歴史を探究する会、伊佐家住宅の活用を楽しむ会の協力を得たものである。

(1) ひな祭り (201 3. 2 . 17)

 重文民家マネジメント研究会主催「各地の街並みを活用したひな飾り」について座敷でレクチャー。ひな壇を作り、ひな飾りに取り組む。土問のかまどに火を入れ、羽釜で米を焚く体験とちらし寿司作りなど。

(2) 竹あかり (2013 .6 . 1)

f0300125_1845338.jpg 大阪人間科学大学あかりプロジェクト主催「伊佐家の暮らしとしきたり」について座敷八幡でレクチァー。
 伊佐家の竹を切り出して作ったランプ、学生の製作したオブジェなどで、庭や外堀に展示、ライトアップした。

(3)農作物の収穫を楽しむ会 (2013 .7. 2 1)

f0300125_18493583.jpg 重文民家マネジメント研究会主催「伊佐家住宅の近代以降の住生活の変貌」について座敷でレクチャー。
 昔の生活を体験する一環として農作物の栽培と収穫を試みた。春に植え付けたジャガイモ、サツマイモ、枝豆、西瓜、瓜を収穫して味わった。


(4)見学会と講演会 (2013. 9.15)

f0300125_18563195.jpg 八幡の歴史を探究する会と重文民家マネジメント研究会の共催。午前は「民家の暮らしの知恵J、午後は「江戸時代の村の暮らしについて交流プラザで講演。講演に先立って行った伊佐家の見学会は、伊佐家の概要と特徴、座敷周りの説明、土間台所関係の説明と3ケ所に分けて解説した。

(5)ウクレレ演奏を楽しむ会 (2014.3.23)

f0300125_18591225.jpg伊佐家住宅の活用を楽しむ会主催「建造物ウクレレ化保存計画J主催者で美術家である伊達氏による古民家の話とウクレレ演奏。土問のかまどに火を入れ、羽釜で米を焚き、粕汁とばら寿司{乍り、味噌っくりを楽しむ。
 この様な体験もできる実践モデルを継続してゆけば、古民家への理解も深まり、支援者を見出す可能性があるように思う。

結び

 古民家を文化財として保存する意義は、ハード面からは民家として建造物の姿、形を残すことであり、ソフト商からは消失して行く生活の実態を残すことにある。重文民家の家・屋敷は指定を解除されることが考えられないので、建造物としては取り壊されることなく確実に保存される。しかし、民家は生活感が伴っていないと民家として価値は薄らぐ。この点が寺社仏閣の重文と大きく異なる。この生活感を支えるものが暮らしとしきたりであり、重文民家の伝統ある文化につながるソフト面をこれまで以上に重要視して行く必要がある。
 この様に重文民家はハード商だけでなく、ソフト面も大切であり、民家の意義を失わないためには、ソフト面の無くなった旧◯◯家住宅にはしないことである。しかし、重文民家を維持・管理するには、ここにも寺社仏閣と異なった大きな問題点が2つある。一つ目は経済問題であり、二つ自は後継者問題である。日常の維持・管理にかかる費用は勿論のこと、大規模修復工事に必要な経費は桁違いに大きく、生活基盤までを失う可能性がある。さらに、後継者問題では、経済負担だけでなく、通勤の不便さ、職場の地域の違いなど両親の苦労を見て育った後継者には魅力のない家としか映らないので、継承することをできれば避けたいと考える。この二つの問題は各民家によって異なり、すべての重文民家に共通しているわけではないが、比較的多くの重文民家が該当している。
f0300125_13311749.jpg 伊佐家住宅はこれら二つの問題を背負っており、これから如何に解決して行くか大きな課題である。図33は屋敷続きの竹薮に生えている榎木であるが、屋敷内では二番目に古い大きな木である。この木に太い蔦が巻き付いている。蔦が木に巻き付くとその木は枯れると言われているが、この木は枯れることなくそびえ立っている。この木を、300年近く建っている伊佐家に見立てると、蔦は伊佐家にまつわる苦難の障害である。例えば、第2次大戦後の農地解放は最も太い蔦で、この難題も克服し複木は生き残った。 これから伊佐家に襲ってくる太い蔦、即ち厳しい難題は経済負担と後継者問題で、これをクリアーして木が枯れないようにしたいものである。頑張れと木霊が噸きかけているような気がする。  (完)

この連載記事はここで終りです。       TOPへ戻る>>>

by y-rekitan | 2014-06-28 10:00 | Comments(0)
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