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◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー

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《6月例会 歴史探訪バスツアー》

~小堀遠州の菩提寺~五先賢の館~渡岸寺国宝を訪ねて~

  藤田 美代子 (歴史探訪担当幹事)

 本年度の歴探バスツァーは、北近江の地を訪れることと致しました。
 例年通り、市内四ヶ所の参加者希望集合場所より、順次乗車いただき、定刻通りの8時10分、一の鳥居前を出発し長浜へと向かいました。

-近江弧蓬庵-

 途中多賀サービスエリアにて小休憩を取り、一番目の見学地、松花堂昭乗と最も親しかった一人・小堀遠州の菩提寺の近江孤篷庵に到着いたしました。
 京都・大徳寺孤篷庵と区別するため、近江孤篷庵と呼ばれており、庵号の「孤篷」は「一艘の苫舟(とまぶね)」の意で、小堀政一(遠州)が師事した大徳寺百十一世春屋宗園から授かった号であります。バス下車後、よく整えられた参道を歩き、小堀家墓地の案内板を横目で見ながら(帰路お参りのため) 、玄関へと向かいます。参加者全員本堂へ入り、住職様より説明を受けました。◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_8193779.jpg
 江戸末期から明治の、廃仏毀釈により、100年近く無住で放置されていた近江孤篷庵を、昭和13年大徳寺孤篷庵で修行を積まれた小堀定泰和尚が晋山(しんざん)されました。寺院の再興は困難を極めたそうです。寄進による武家屋敷玄関の移築。本堂各部屋の皆川月華の染彩画の襖絵は非常に印象的でした。
 今般、松花堂昭乗の歴史的な事実を知り得る貴重な書状を参加者の見易い位置に掲示、又松花堂行状の巻物も縁側に近い明るい畳の上に広げて下さり、ご住職のお心遣いをとても嬉しく有難いことだと思いました。
 内容につきましては、ツアーに参加された松花堂美術館学芸員、並びに松花堂昭乗研究所の川畑薫先生に当日説明をお願いし、本会報にも寄稿頂いております。

 次にご住職より庭園のご説明があり、枯山水と地泉回遊式の二つの庭園どちらも、昭和36年に県の名勝に指定されているとのことです。◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_8232330.jpg
 私達が座っている前庭低い位置に一面のイブキリンドウが芽吹き、今はまさに枯山水ですが、八月になると一斉に色づき、それが琵琶湖を表し、遠くの西に向いた船石は、湖面をまさに漕ぎ出でんとする西方浄土の世界を表現しているとのこと。イブキリンドウが琵琶湖と化す色調を想像してみましたが、機会があれば、その時期に又訪れてみたいと思いました。池泉回遊式は庭園の北東部分、琵琶湖を模した錦渓池を中心に鳥瞰図的に本堂を眺めた時の景色は、◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_15293348.jpg人の心を落ち着かせ、心に中に静けさが充満する様な素晴らしいお庭でした。
 ご住職によりますと、自然豊かな、野性味のある、ほっとする寺でありたい。江戸時代創建当初に近づけてゆこうと、現在も江戸のままかわらないままに、江戸時代のお庭を楽しんでいただきたいとおっしゃっていて、大変貴重なお庭だと思いました。

 ご兄弟お二人も仏門に入っておられ、お兄様は建仁寺管長、弟様は龍光院住職とお聞きしました。遠州や関係者の墓地にお参りし、バスへ向かいました。

-五先賢の館-
 
 昼食処でもあります、五先賢の館へ到着。長浜市旧浅井町田根地域では昭和初期から五先賢の顕彰が行われてきており、その顕彰運動の拠点として、平成8年に開設された施設です。◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_1519161.jpg五先賢とは、比叡山の高僧 相応和尚、桃山画壇の巨匠 海北友松、賤ケ岳七本槍の名武将 片桐且元、茶道・造園美術建築の巨匠 小堀遠州、漢詩・書道の大家 小野湖山をさします。
 教育実習ということで、近くの女子中学生のぎこちないながら、実にさわやかな歓迎にびっくりしながら、昼食会場の大広間に入りますと床の間に掛けられた小野湖山の書「松葉」「千歳」「緑」に驚かされます。五歳時にしてこの迫力。
 これまた、中学生のほほえましいふるまいの中、時折飛び交う「サービスするときは座!!!」というような厳しい注意を受けながらも、懸命に笑顔をまいて世話を焼いて頂き、和気あいあいと美味しい食事がすすみました。◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_15353324.jpgその後館長より、館内展示品の説明を受け、私は大広間から眺められました小谷山を借景とした遠州流庭園、織部灯篭、水琴窟を視聴しました。
 見どころ一杯で、参加者個々の好みの人物像や、遺品などをそれぞれ存分に説明をうけ、見学させていただきました。
 まだまだ、説明をお伺いしたり、見学したい気持ちを振り切りバスへ乗りました。

-渡岸寺-
 
 最後の見学地であります国宝 十一面観世音を拝観すべく渡岸寺観音堂へと向かいました。元亀元年、浅井・織田両氏の戦火より守る為、やむなく土中に埋蔵し、難をまぬがれたといわれます。◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_15381814.jpg土の中の湿気で金箔は剥げ落ち、その下の漆のみになっていますが、説明者によりますと、却って仏像の良さが出ているのではないかと言われておりましたが、同感でした。檜の一木作りで、蓮台(れんだい)より195cm、重さ40.1kg通常は100kgあるが、上部に皹が入らない様に空洞にしてあるそうです。右手がバランス的に長く太く感じられました。これは、より多くの人を救う為の表現なのだそうです。

 有意義な思いで満たされ、帰路に着きました。
来年も又、皆様とご一緒に歴史を紐解き、実りあるバスツァーを実行出来ればと担当幹事一同思っております。お疲れ様でした。

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参加記 ~旅の発端~

川畑 薫(八幡市松花堂庭園・美術館 学芸員)


 今回、初めて歴史探訪バスツアーに参加させて頂きました。
遠足のようなわくわく感と、慣れない緊張感でそわそわしながら、少し早めに集合場所に到着しました。すでに幹事の方が待機されていたので、何ということもなく、順調に旅が始まりました。私は7時55分に中央センター前からバスに乗車しました。ちょうど一緒に乗り込んだHさんの隣の座席に座りました。Hさんもバスツアーには初めてのご参加とのことで、「同じですね」と話が盛り上がりました。
 10時頃、長浜に到着。まずは近江孤篷庵様へ。私がこのツアーに参加するご縁を頂くきっかけとなったお寺です。
 そう、あれは昨年(平成29年)9月末のことです。1本のお電話が発端でした。電話の主は太田浩司氏(長浜市市民協働部学芸専門監)。長浜で、小堀遠州宛の松花堂昭乗書状が見つかったとのこと。それは、近江と遠州に関する新発見を含む貴重な書状であるとの旨。松花堂昭乗研究の立場から見解を、というような内容でした。ちょうど松花堂美術館で10月から開催する特別展の準備に追われ、あまりに忙しい時期でしたので、「そうなんですか」と受け流してしまいそうになりましたが、太田さんから送られてきた写真を拝見し、その内容に目が釘付けとなりました。
 新発見と目されたのは、小堀遠州が、自らの領地である浅井郡に実際に赴いたことを示す記述でした。遠州は、元和5年に浅井郡に転封されたのですが、当初に一度、領地に赴いた形跡はあるものの、それ以降、足を運んだことを伝える資料がなかったというのです。それが、この書状に、差出人である昭乗が、遠州が思いのほか早く「江北」から伏見に戻ってきたことに驚き、琵琶湖や比良山をみてどんな和歌を詠んだのか教えてほしい、と記していることから、遠州が「江北」(領地の浅井郡と考えられる)に実際に赴いたことを示す証拠となる次第です。大きな発見です。
◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_291194.jpg とはいえ、新発見はこれだけではありませんでした。書状には、石清水八幡宮の寛永の造営についても言及されていました。なんと、昭乗が造営に際して、時の摂政一条兼遐、京都所司代の板倉重宗、淀城主松平定綱のもとを奔走していることが知られるのです。かねてより、寛永11年に完了した造営に昭乗が何らかの形で力を尽くしたのだろうことは、想像していましたが、これを裏付ける資料に乏しく、想像の域を出ませんでした。しかしこの書状の発見によって、「やっぱり!」と昭乗の尽力が明らかとなり、胸が高鳴りました。こういう瞬間は、まさに研究の醍醐味といえるものです。その折、実物の書状も拝見しましたが、昭乗の書状であると確信されました。
 そんなことで、近江孤篷庵様にはぜひ近いうちにお参りさせて頂きたいと思っておりました。まずはご本尊にお参りし、小堀泰道和尚様より御縁起を伺いました。なんとご本堂の一室には、先の書状が掛けられ、のみならず昭乗の一代記である「松花堂行状」の巻物が畳に広げられ、特別拝観の機会に恵まれました。
◆会報第86号より-02,03 北近江バスツアー_f0300125_2145375.jpg会の方から、少し説明をと承り、僭越ながら少し説明させて頂きました。皆さん熱心にご傾聴下さり、ほっとしました。
 続いて和尚様のご案内にてお庭を回遊させて頂きました。お庭から望むご本堂の佇まいは凛として、穏やかな空気に包み込まれ、印象的な光景でした。

 その後、バスに乗車し、五先賢の館へ。折しも職場体験学習中の地元の中学校の生徒さんに迎えられました。佐治寛嗣館長より、浅井ゆかりの五人の先賢についてご説明頂き、同館の大広間にて、地元の美味が盛り込まれた昼食を頂きました。昼食後、常設展示を拝見し、改めて佐治館長のお話をゆっくり伺いました。
 そして五先賢の館を出発し、バスは最後の目的地である高月町へ。渡岸寺観音堂(向源寺)へお参りしました。ご本堂を参拝し、十一面観音様のいらっしゃる慈雲閣(収蔵庫)を拝観しました。台座にすっと立たれた観音様は、異国の雰囲気の漂うお顔立ちで、正面から拝観すると腰を少し左にひねった美しいお姿です。横から後ろから360度お姿を拝観しました。時を忘れてゆっくり心静かに参拝させて頂きました。
 あっという間の1日でしたが、盛りだくさんの内容で、皆さん和気あいあいと、バスツアーって楽しいな、と帰りのサービスエリアであれこれお土産を探しながら思いました。お世話になりました皆様に心よりお礼申上げます。そして旅を企画して下さった幹事さん、そしてツアーをご一緒しました皆様、ありがとうございました。(川畑薫)

(幹事からの御礼)今回のツアーの行き先については当初から川畑先生の紹介を得て進めたものです。また、当日はいきなりの展示品の説明のお願いにも快く応じて頂き、参加者一同感謝、感謝です。直後の地震被害には御見舞の言葉もありませんが、早い復旧をお祈りしております。


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by y-rekitan | 2018-07-28 11:00
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