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◆会報第97号より-01 松花堂昭乗

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心に引き継ぐ風景・・・㉘

安楽庵策伝さくでん惺々翁せいせいおう(松花堂昭乗)
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 松花堂昭乗筆「安楽庵策伝肖像画」は「逸翁美術館」で観た。この肖像画、戦前は「松花堂昭乗肖像画」として世に紹介されていた。さて策伝は美濃に生まれ、後に京都禅林寺(浄土宗)に修行し、山陽地方を中心に布教活動を行う。六十歳の時、誓願寺(新京極)第五十五世を継いだ。(現本尊の阿弥陀如来座像は石清水八幡宮から移安)。誓願寺古記録『深草史』に「後水尾天皇の勅命で清涼殿において曼荼羅を講説したが、弁舌爽快にして人々を感動せしめた」とあり、後世「稀にみる咄(はなし)上手」といわれた話芸は長い布教活動から培われた。又、京都所司代板倉重宗の依頼で著した『醒睡笑』は「自ずから睡(ねむり)をさまして笑う」程の面白さで、「落語の祖」としても称えられる。隠居後も松花堂昭乗、近衛信尋、淀屋个庵など多くの文化人と往来した。『策伝和尚送答控』に二人の狂歌が載る。 
 「戌の霜月廿三日大仏[餅]をそえて滝本坊へ遣(つかわす)
                   〔寛永十一年(1634)〕
   策伝  白妙に雪のはたへをもちなから かちんといへるいろのふかさよ
返し 惺々翁 白妙の雪のはたへも是ほどに ひとのもちゐておもひつくかは」

 昭乗は策伝のオチに一笑々々と書状に残し、二人の歌は『都名所図会』巻三「洛東大仏餅」の条にも載る(餅所の隅田屋は戦後廃業した)。
(文 谷村 勉)空白



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by y-rekitan | 2020-05-22 12:00
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