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◆会報第105号より-03 八幡の花木①


八幡さんの花木
―その1(一の鳥居~裏参道~展望台へ)―

  家村 輝男(会員) 


はじめに

 毎日眺め、散策している身近な男山。しかし、石段横の植物、巨木の木肌や木についた緑の葉っぱをじっくり見たり、嗅いだりさわったりしたことは少ないと思います。鎮守の杜の自然観察をしながら散策を楽しみました。
八幡さんの自然観察は次のコースで3日間に分けて観察を実施中です。
第1回調査(7月3日)
 (一の鳥居~頓宮~髙良神社~裏参道(太子坂)~展望台~(清峯殿)青少年文化体育研修センター 
第2回調査(8月7日)
 航海記念塔~神応寺~鳩ケ峰~男山レクリエーションセンター
第3回調査(9月4日)
 二ノ鳥居~表参道・大扉稲荷社~三の鳥居~本殿 
 今号から調査結果を連載して報告します。先ずは第1回調査結果を次号と2回に分けて報告です。

1.一ノ鳥居~頓宮

 ◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_20420461.jpg一の鳥居の付近は、スダジイの森が広がり、林縁はシャリンバイ、アオキ、ヤブツバキ、アラカシ、タラヨウなど、葉が硬質で光沢がある常緑の木々です。
 シイは常緑広葉樹。5月に穂状の花をつけ、男山を見ると白っぽくモコモコと見えるのはコジイ(ツブラジイ)です。葉っぱの表面は濃い緑色で裏は銀褐色。スダジイとは、どんぐりの形しか見分けが難しい。どんぐりは花が咲いた次の年に成熟して、秋の参道に沢山のどんぐりが落ちています。アクがなくとても美味しいです。
 ◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_20473999.jpg参道右側、広くて古い放生池の主な水生植物は、ハス、ヒツジグサ、アサザ(図1)、ミソハギ、ヒシ、ショウブ、ヨシなどが優勢種です。アサザが2輪黄色い花を咲かせている。
 京都府レッドデータブック絶滅危惧種。湖沼、河川の淀みに生育する多年草の浮葉植物。花期は、6~9月。池前の説明板には、大谷川から移植したと記されている。

2.頓宮でモミの大木の樹幹を眺め高良神社へ

 鳥居の右にオガタマノキ(図2)がある。◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_20565626.jpg常緑高木、葉っぱは長楕円形、濃緑色で光沢がある。京都では自生しないので、本殿東北の大木もこの木も植栽されたものです。オガタマは古代には神霊の招魂(おきだま)からとされサカキとともに神事に用いる。3月末にはモクレンに似た白い小さな花をつける。花や葉に芳香がある。仮種皮に包まれる種子は赤い。この木は、アオスジアゲハに似たミカドアゲハの食樹。京都では蹴鞠でしられる白峰神宮のものは市の天然記念物になっている。1円玉の表で葉が8枚葉の若木デザインはオガタマノキという話があるがとくに樹種はなく、伸びゆく日本の姿を現している。直径は2センチ、1グラムで製造コストは3円かかっている。
 ◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_21040457.jpg参道の左右にイチョウの雌雄の大木がある。どこにもある落葉高木だが、中生代からの生きた化石といわれる。害虫も少なく葉っぱに虫の食べた痕はまずみない。材は緻密で柔らかい碁盤、将棋盤、彫刻材に利用、まな板には最高。 
 タブノキ(図3)は、高良社のご神木で京都府の自然200選に指定されている。この巨樹は樹齢約700年。根回り7.5m、樹高約25m。常緑広葉樹で4月から6月に小花を枝先に咲かす。葉は光沢のある革質枝先に集まる。果実は1cmくらいで熟すと黒紫になる。樹皮や葉には粘りをもち古くから線香の材料に使われる。黄八丈の染色材にもなっている。

3.本道に戻って、頼朝公ゆかりの松から裏参道(~護国寺跡)

 男山の南斜面を常緑広葉樹のアラカシ、タラヨウ、ヤブニッケイ、クスノキ、その林下にヤブミョウガ、ヤマアイが群生している。
 参道をふさぐようなマツは、吾妻鏡によれば、1195年(建久6年)4月3日、東大寺の大仏落慶供養のため上洛した源頼朝は妻北条政子と娘大姫とともに私的に参拝し、15日には長男頼家を伴って公式に参拝の折、鎌倉から6本の松の苗木を持参して境内に植えたと伝えられている。昭和の初めまで6本の松のうち1本生き残っていたが落雷で消失、現在のマツは1955年(昭和30年)に奉納されたもの。

石段の最初の踊り場
 目の前の砂防堰堤にマメヅタ(図4)が幾何学的な絵を描いている。◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_21305938.jpgこれがシダかとおもうくらいよく知られているシダの形と違う。1㎝くらいの丸い栄養葉と狭いヘラ状で立ち上がった胞子葉、いずれも肉厚である。
胞子が茶色く熟すとまるでブラシのように見える。
これが岩や樹幹にびっしり着生する。空中湿度の高い場所を好んで生える。護国寺跡付近でも見られる。
 斜面の湿ったところに60cmくらいのリョウメンシダ(図5)が。裏も表も同色で同じように見えるのでこの名がついた。葉は、黄緑から明るい緑色をしている。まるでレース編みのようなシダです。裏参道に多く見られる。
◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_21424145.jpg
 湿った岩場に準絶滅危惧種のキミズ(図6)が生えている。茎の基部が木質化した半低木、茎は20~30cm、葉は卵状披針形で先は尾状にとがり表面にあらい毛がある。花期は3~5月。淡い緑で雌雄同株。
 石段を登るとイスノキ(図7)の大木がある。◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_21455253.jpg樹皮は明るい灰色だが、樹齢を重ね鱗状に剥離して赤みを帯びてる。樹皮からはトリモチを、樹皮と葉の灰を合わせたものは、有田焼の釉薬「イスバイ」。建材としては、床柱、床板、腰板利用される。比重が1前後で、堅さがあり木目も美しいことから木刀、」そろばん、杖、三味線の棹に使われる。花期は、3~5月。花穂は葉に埋もれ目立たないが美しい。葉っぱの裏面には、イスノキアブラムシが寄生、刺激された細胞が異常に発育、虫こぶができる。アブラムシが出て行った木化した虫こぶを笛にして吹くと「ヒョン・ヒョン」と鳴る。ヒョンノキの別名がある。

 参道脇には、ヤブツバキ、木肌が網タイツのアカメガシワ、樹形が逆さ箒のケヤキ、葉が3行脈のヤブニッケイ、幹が緑のアオキ、クスノキを観察しながら竹雨水(石垣の水溜め)を通過する。            
参道に、ムクノキ、エノキ、アラカシの葉っぱも落ちている。沢の谷筋には、春にタチツボスミレ(図8)の清楚な花の群生見られます。男山で最もよく見られるスミレです。ツボは坪で庭のこと。庭に咲く茎の立ち上がったスミレの意味。
◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_22003220.jpg
 頂羽片が独立して羽片の数が少ない、斑入りのハカタシダ(図9)。胞子囊群が葉の脈の先端に外側に向かってつくフモトシダ。オオバノイノモトソウが生えている。◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_22024054.jpg 山側を見ると、ゾウの足のように横筋が特徴のナナミノキ(図10)葉っぱで見分けは難しい。花の形はソヨゴによく似るが淡紫色。果実は目立つ。

太子坂を進み、萩坊跡を谷側に少し行く
 ホウチャクソウ(図11)の群落がある。変わった名前は、花が、寺院の軒に下げる風鈴状の宝鐸(ほうちゃく)に似ているため。花は4~5月枝先に緑白色で先が濃緑色の花をつける。果実は黒く熟し1cmくらいになる。
すぐそばに開花が2~5年のウバユリ(図12)が生えている。満開になるときは葉(歯)がなくなるため「姥」という。
◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_22225585.jpg

参道に戻り護国寺跡へ
 モウソウチク林の中に、ケヤキ、クスノキの大木の下、◆会報第105号より-03 八幡の花木①_f0300125_22442828.jpg腐葉土に生える腐生植物タシロラン(図13)の群生がある。京都新聞でこの場所が紹介されて観察に来られる人も多い。花期は5~6月くらい林に立ち並ぶ白い姿はまるで幽霊のよう。日本で最初に発見した田代善太郎の名がつけられた。
第1回調査の後半(男山山上の護国寺~展望台~清峯殿)は、次号で報告します。
(自然観察指導員)
 ―次号(106号)に続く― 一一
 
今回、自然観察指導員の正木文枝さん(八幡市在住)と同行しました。また、石清水八幡宮禰宜西中道氏から貴重な資料の提供を頂きました。
 
参考資料
1.京都男山の植物(石清水八幡宮)
2.男山で学ぶ人と森の歴史(八幡市教育委員会)
3.八幡の町の小さな仲間たち2016(八幡市環境保全課)




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by y-rekitan | 2021-09-27 10:00
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