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◆会報第104号より-07 楠木正行・正儀

◆会報第104号より-07 楠木正行・正儀_f0300125_10023911.jpg   生駒孝臣著

『楠木正行・正儀』を読んで

           高田 昌史 (会員) 


 本書『楠木正行・正儀』(ミネルヴァ日本評伝選)は5月10日に発行された新刊である。◆会報第104号より-07 楠木正行・正儀_f0300125_11082667.jpg著者の生駒孝臣氏(花園大学専任講師)には “八幡の歴史を探究する会の4月例会”にて「楠木正成・正行・正儀と八幡」の演題で講演をお願いし、本会報104号にはその講演要旨も執筆していただいた。生駒孝臣氏は日本中世史研究者で、特に南北朝時代に関する本を多く出版され、また、京都新聞にも「太平記を読む(つわものたちの実像)」を連載中である。
 幼少の頃から楠木正成は【楠公さん】として親しんできたが、その中で最も心を惹かれた「桜井の別れ」がフィクションであり、他にも太平記は事実に基づくものよりも物語上の“創作が多い”と知ることができた。
 巻末資料(楠木正行・正儀年譜)により、父正成が湊川で戦死した時は、正行11歳、正儀7歳であったこと確認できる。正行は四條畷で戦死したのが23歳頃だったので、正行の活躍期間は短期間であった。一方正儀には57歳の発給文書が残っているのでそれ以上に長生きしている。
 従って本書本文の7割以上が正行死後の正儀の活躍が記されており、楠木一族の長として本当に波乱万丈の生涯だったことを知ることができる。しかし、正儀の評価は太平記を始めすこぶる評判が悪い。一時期、南朝から北朝に鞍替えしたことが大きな要因のようだが、最後に残った楠木一族の長としては苦渋の選択ともいえる。
 私は特に八幡と縁が深い三男正儀のことは八幡に住むまでは全く知らなかったが、本書で詳しく知り得た。確かに、父や兄のような歴史に残るような華やかさはないが、最後に残って楠木一族を守ったと評価されると思う。
 3年前から”「楠公さん」大河ドラマ誘致協議会”により、「楠公さん」を大河ドラマに!と、現在66自治体が加盟して署名活動中で八幡市も加盟しており、私も賛同して署名した。多分、数年後にはNHKの大河ドラマで放映されると思うが、ドラマの中で楠木正儀がどのような登場になるか誠に興味深い。(2021.06.10記)

by y-rekitan | 2021-07-28 06:00
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