人気ブログランキング | 話題のタグを見る

◆会報第109号より-01 道標物語②

◆会報第109号より-01 道標物語②_f0300125_16115857.jpg


心に引き継ぐ風景・・・㊵


「八幡宮道」道標物語 ②

往生礼讃道標
◆会報第109号より-01 道標物語②_f0300125_09310391.jpg
 数ある「八まん宮道」道標の中で最高傑作といわれる「往生礼讃道標」は、圧倒的な存在感を放っています。場所は下奈良隅田の「井関墓地」の入口で、川口の南方面から1号線に抜ける途中にあります。嘉永四年(1851)建立の道標正面には卓越した技量の石工による「阿弥陀三尊来迎図」の浮彫が鮮やかに残り、その下部に法然上人と、師である善導大師も描かれています。右面には「願共諸衆生 往生安楽国」(願わくば、衆生と共に、安楽国(極楽浄土)に往生せん)とあります。善導大師の『往生礼讃』の中に繰り返し出てくる言葉です。三尊像は寺院や美術館で拝観、鑑賞することはありますが、道標に彫られた阿弥陀三尊像を見るのは初めてで、郷土史を研究する人々には文化財の豊富な八幡の底力を感じさせる場面です。
 左面上部に「南無阿弥陀仏」、その下部に「右 うじ・左 よど 道」とあります。八幡は浄土宗が盛んな地で、江戸時代には浄土宗の寺院は九十六カ寺を数え、その内の三十六カ寺が御朱印寺で徳川家康から領知朱印状を給っています。墓地の西側男山方向には「獅子塚跡」の三宅安兵衛遺志碑が立っています。
 なお「往生礼讃道標」は岡山大学名誉教授馬場俊介氏の学術情報データベース「近世以前の土木・産業遺産」の中で京都府下の道標では唯一Aランクに登録されました。(会報92号2019.07.24) 
(文と写真 谷村 勉)空白


<<< 連載を抜けてTOPへ        この連載記事の続きは⇒⇒


by y-rekitan | 2022-05-23 12:00
<< ◆会報第109号より-top ◆会報第109号より-02 八... >>